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ギャンブルはヒトの社会が誕生した当初からすでに存在していました。人類文化の草創期からギャンブルのような遊びが存在していたことは、数々の考古学研究でも明らかになっています。ここでのギャンブルとは結果の予測ができない、スキルをほぼ必要としない、そして勝敗が運まかせであるゲームを指します。

どんなゲームであっても、その目的は当然ながら勝つことです。賭けるものや報酬は金銭の代わりに、物品やサービス利用権などが使われることもありますが、実際には大部分で金銭が使われているのが現状です。

そのため多くのプレイヤーはお金儲けを目的にギャンブルにのめり込み、しばらくするうちにやめたくてもやめられなくなってしまうのです。先進国ではギャンブル依存症の割合が成年の間で20%にも上り、若年層でも4~6%と言われています。

人々がギャンブルに対して抱くイメージは、時代と共に変化してきましたが、世界的に見れば平均して中立的な見方が保たれています。ただ、今日の社会では、ギャンブルの普及率がかなり高まっており、若者世代にとっても彼らが生まれた時からギャンブルが合法として存在しています。周囲で多くの人が娯楽や余暇を過ごすために利用しているという点が、ギャンブルが中立的に捉えられている理由の大きな部分となっていることは間違いないでしょう。

若者のギャンブルおよびそれに関する問題を取り上げた研究は、研究者や医療従事者の間でも注目度が高まっています。この10年ほどで発表された多くの論文でも、若者のギャンブルについての問題が深刻な懸念となっていることが指摘されています。特に教育分野の研究を行っている場合、ギャンブルが深刻な依存症の危険をはらんでいるという事実を見逃すわけにはいきません。

ゲームの選択肢が過剰にある今日の社会では、年少の子どもまでもがこの危険に晒されています。今の世代は生まれた時からスマートフォンを手にしていることもあり、その結果子どもらしい遊びがどんどん廃れていき、「機械」がなければどうやって遊べばいいか分からないような状況に陥っているのです。

また、非行、犯罪、学業不振、中退、家族や友人との人間関係の悩み、自殺、不安、うつ、アルコールや薬物の乱用といった問題は、思春期の子どもたちのギャンブル問題と関連しています。

ギャンブルはアルコールやタバコ、薬物などと異なり、依存症に陥る過程において、目に見える兆候がありません。たとえ、問題となるようなギャンブル行動があったとしても、人々の目には入らないことが多いため、一般的にギャンブルの怖さはあまり知られていません。さらに、広告やマスメディアではギャンブルが悪いものではないような見せ方をしています。

しかし、過剰なギャンブルは健康面において長期的な悪影響をもたらすことが臨床研究で明らかになっています。影響の多くはメンタルヘルスや日常生活に問題をもたらし、克服が困難なもの(退学、犯罪、両親や家族、友人との不仲など)となっています。特に、思春期の若者がギャンブルの依存症を患ってしまった場合には、メンタルヘルスの維持や社会への適応が難しい状態となります。

さらに、アルコール、大麻、タバコの乱用と、ギャンブル依存には関係性があることが研究で明らかになっており、ギャンブルが若者の問題行動の要因であることも証明されています。リスクをはらむ行動を好んでとるような若者たちは、その他の悪い習慣にも手を出す可能性が高いことも研究で証明されています。

このような状況が今後どう変化するかは分かりませんが、なにか根本的な変化がおこらない限り、思春期の若者たちは深刻な問題に直面することになるでしょう。